2007年04月30日
憧れの桃源郷—九賽溝を尋ねて 1
過ぎし日、私は中国語の弟子たちとともに、今日本でも大ブレークとなりつつある中国の桃源郷・九賽溝を訪れた。毎年続くこの中国を歩く旅は今年で7回目を数えることことになったが、今思えばこれまでにずいぶんといろいろなところを皆と一緒に旅をしてものだと思う。そして、生涯忘れることのできないこの思い出は、私の人生を豊に、何よりも代え難い貴重な財産となっている。
最初の年は、大勢の友が待つ江蘇省を中心に、大躍進を成し遂げている国際大都市—上海などを旅した。2年目は私が総経理(雇われ社長)を務める日中合弁会社が置かれている北京を中心に、大草原が繰り広げる内モンゴルを訪ねた。3年目は、中国の母なる河—黄河の源が流れる大地—蘭州から、シルクロードへのゲットウェイである敦皇を旅した。4年目は西安など、5年目は中国の中で私が最も好きな場所—雲南省の大理、麗江、中典を尋ねた。そして、6年目は中国東北の長春とハルピンと大連、そして、7年目の今年はずっと憧れていた四川省の九賽溝を尋ねた。
九賽溝は、四川省一部であるが、ずっと奥に入り込んだ山間部でにあるため、目的地に辿り着くのは容易ではなかった。一行はまず、福岡国際空港から飛行機に乗ること2時間で成都へ、成都に辿り着いた時はもうすでに夕暮れ時になっていた。とりあえず急いでホテルにチェックインを済ませると、再びバスに乗り込んで、ホテルから10分もかからない場所にあった四川火鍋を鍋食べさせてくれるレストランへ駆け込んだ。
もし、また四川火鍋をまた召し上がったことがないという方は、是非、一度トライしてしていただきたい。世の中にこんなにもすごい食べ物があったのかとあなたはきっと泣いて喜ぶはず。口から火が出るほどに辛いこの四川火鍋は日本の寄せ鍋に似ているような食材がたくさん入っているが、しかし、だしには様々な薬草が入って、どうにも言い表し難い味で、本当に辛いけれど、一度食したら絶対に病みつきになると思うから、お勧めの一品である。
※次回掲載は、5/7(月)を予定しております。
2007年04月23日
確実に変り始めている 中国の独りっ子政策 2
「はい、私も早く子供を作ったほうがいいと思っていますし、青木先生を見習って、できれば2人は産みたいと考えています」
「ええ、中国は独りっ子政策でだめなんじゃありませんか。それにあなたもご主人も漢民族でしょう、少数民族でもない限り子供は1人までではなかったのですか」
「私も夫も独りっ子です。昨年、中国は現行の独りっ子政策に対し、見直しが行なわれたのはご存じでしょう。見直された一人っ子政策では、夫婦がともに独りっ子である場合は、子供2人まで産んでもよろしいということになっています。私も夫も独りっ子だったから、子供の頃はとても寂しい思いをしたので、子供には兄弟を作ってあげたいと思っているのです」
「そうなのですね。70年代末頃に実施された独りっ子政策によって、産まれた一人っ子たちは今、もう25才がすぎて、結婚適齢期を迎え、今後、貴女たちの同じように、中国には子供が2人いる家庭が増えてくるのですね」
「はい、子供を2人も産んで、仕事と家庭を両立できるかどうか、自身はありませんが、精力的に仕事もしながら、3人のお子様を産み育てておられる青木先生をお手本に、頑張ろうと思っています」
「秋子さんならきっと大丈夫、でも一人だけで頑張ろうとは思わない方がいい、家庭は男女共同で築き上げるものだからね。今度、夫の協力を巧みに引き出す方法を伝授しますよ。中国の男性も日本の男性も同じだと思うけれど、いずれみんな、本能的な部分で亭主関白的な考えが意識の奥底に潜んでいると思うんだ。だから、お互い衝突しないためにも、上手くやらなければならないと思うのです。男性のプライドを傷つけない程度に、飴と鞭で、自分の味方につけることが大切。私が今、中国と日本を行ったり来たりするような仕事ができるのも、子供たちの理解と夫の協力があってこそできることだと思っています。私は子供たちによくこんなことを話しています「人は人としてこの世に生をうけた以上、社会のために、果たさなければならない責務があるのです。お母さんは、その責務を果たすべく頑張っているんだ」、だから、子供たちは私が不在で少々不自由な思いをしても、決して文句はいいませんし、特にこのころは、よろこんで家事の手伝いをしてくれるようになりました」
「わかりました、私も頑張ります。先生は今度いつまた上海にこられるのですか、、、、」
秋子さんと話し込んでいると時間が立つのも忘れて、夜がすっかりとふけこんでいったのも忘れてしまうほど、楽しかった。今度会えるときには、お母さんになっている秋子さんの姿を想像しつつ、二人でレストランを後にしました。
※次回掲載は、4/30(月)を予定しております。
2007年04月16日
確実に変り始めている 中国の独りっ子政策 1
仕事を終えられて、約束の時間に少し遅れて姿を現した秋子さんは、私の姿を見つけると、嬉しそうに大きく手を振りながら「青木先生」と、小声で叫びつつ小走りに私に向かって近づいてきた。福岡にいた時の学生の身分時とは大きく違って、薄いベージュ色のスラックススーツに包まれた長身な身体は、心なしか、少しふくよかになったように見え、人身あふれる顔つきとなっていた。
話の途中で時折、こぼれそうな笑顔から、今は仕事も私生活も大変充実しているんだなということを知って、私もとても嬉しく思えた。
「中国に戻ってきて、もう2年目になりますね、これからもずっと上海で暮らしていくおつもりなのですか」と、私が尋ねると、「ええ、夫はアメリカで国際金融を専攻したものですから、現在、アメリカ系の金融雑誌社で働いているのです。今のところ南京には、そのようの会社が少ないので、彼が学んだことを活かせられるのはやはり上海しかありませんし、それに私たち夫婦は、国内の他の地方と比べて国際色が濃い上海の街が大好きなので、当分はここで暮らしていくつもりなの」と、心境を語ってくれるのであった。
※次回掲載は、4/23(月)を予定しております。
2007年04月09日
九州には地域の優位性あり知名度アップのための取り組みを
日本経済の中心は、東京や大阪だけと思われていて、中国をはじめとするアジアの企業はこうした大都市しか知らないで取り引きをしています。けれどもそこではないと疑問を抱き始め、新しいビジネスの場を求めていることは間違いありません。九州には恵まれた立地条件だけではなく、自動車や半導体といった新産業の集積があり、素晴らしい技術をもつ中小企業も多く点在し、カウンターパートナーとなり得る可能性が十分にあります。今後は官民が一体となって地域全体に磨きをかけ、アジアの人々に知ってもらうための努力から始めるべきでしょう。
そして今私たちに求められているのは異文化を尊敬する気持ち、価値観の違いを受け入れるたくましさだと思います。人が集まってくる家は栄えるといいます。アジアの人々がどんどん集まってきたくなるような九州になれば、九州の未来も明るいものとなるのではないでしょうか。
※次回掲載は、4/16(月)を予定しております。
2007年04月02日
外国人留学生が洪水のように中国に流れ込む 2
中国はなんといっても世界で一番ビッグなマーケット、これから何を論ずるにしても中国なしでは語れなくなるというのは間違い有りません。将来に備えて、中国語を学び、それと同時に、中国の歴史や文化を身につけるということがとても大切なことであると世界中の人々が認識しはじめたに違い有りません。
明白な目的をもって中国に留学される若者を受け入れるキャパシティーはいくらでもあると、大学に務める中国人の友人がいいます。しかし、あまりよろしくない現象として、最近、日本から高校を中退した若者が中国に送り込まれるケースが増えているというのです。
「髪の毛を真っ赤にそめて、耳に鼻に穴を開けてビアスをいくつも付けて、お尻が半分位みえそうな腰パンを穿いて、人の話しをろくに聞かず、目的目標などもなく、勉強をする気がさらさらにない若者を中国に送り込まれては困ります。中国では独りっ子政策が実施されているため、どの家庭も子供は一人しかいません。子供は親にとって唯一の希望の星なのです。ですから、悪影響を中国にもち込まれるのは望ましくありません。そのようなことを避けるために今、中国では若年留学生の受け入れに慎重になりはじめた学校が増えつつあります」
全然しらなかったことでしたが、今、他の国からはまだほとんど例がないらしいけれども、日本からは、若年留学生も増え始めているということを聞き、本当に驚きました。たしかに、日本の環境に適応できず、日本ではどうにもならない若者が、海外にだせばしっかりとしてきて、人が変わるケースも少なくないと思います。でも、できることならば、日本人としての誇りを持ち、はやりはっきりとした志をもって外国に出かけ、学びを通して互いが良い影響が与えられたら、どれだけ素晴らしいことかわかりませんね。
※次回掲載は、4/9(月)を予定しております。