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2007年08月06日

国宝・鑑真和上展から日中関係に思いを馳せて Part3

 千二百年の遥かいにしえの中国は、世界の最強かつ先進国でありました。おそらく、中国の人々にとって当時の日本は、未発達な小さな後進国にすぎなかったに違いない。けれども、謙虚に学問を求めて、遥かなる海を越えながら中国までやってきた日本人留学僧たちを大事に受け入れ、惜しみなく、様々な学問を教えた上に、帰国の時には多くの教典や書物をもたせました。また、要請を受ければ、命も惜しまず、日本に渡り、熱心に指導を施すのでした。

 今日本と中国との関係は「政冷経熱」状態に陥り、出口を見いだせないでいます。それは何故なのか、恐らく両国の人々に明白な答えはもっていないのではないかと思うのです。しかし、我々現代人はすべてを利益再優先だと考え、利己的になりすぎて「徳」をなくしているからではないかと、鑑真和上を拝見して、そう思わずにはいられませんでした。日中両国民がお互い「徳」を積み、もっと利他的な考えをもつ事ができるようになった暁に始めて、諍いのない日中関係が実現されるのかも知れません。

 靖国神社にこだわる日本人もいるかもしれないけれど、千二百五十年も前に、日本に渡ってこられた鑑真和上を今日にいたるまでもなお心から敬愛している多くの日本国民がいるということ、また、日本は鑑真和上座像を国宝として大切にしている「国」だということも、中国の人々に知ってほしいと切に願うものであります。

 日中国交正常化三十五周年を記念するための国宝・鑑真和上展は九月二日まで福岡市博物館で開催されています。より多くの人々が展覧会場に足を運んでいただき、日中両国の未来に思いを馳せていただきたいと心から願っています。




※次回掲載は、8/13(月)を予定しております。  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本と中国