中国の今を知る、中国の未来を読む。

スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2009年03月23日

中国がこれから目指すべき社会とは

数年ほど前に、当時の中国全国政治協商会議主席・李瑞環氏が来福され時に、麻生知事との会話の中で、中国がこれから目指すべき社会について「中国はイギリスのような国家を目指す」と言及されたことがあった。しかし、当時の中国経済はものすごいスピードで発展し、人々は発展の波に乗り遅れまいと猛進していた時期だったので、横で聞いていた私はその言葉の真意を理解することができなかった。
  

 
 そして、先月、温家宝首相がイギリスを訪問され、「フィナンシャル・タイムズ」の単独インタビューで、記者の質問に答える中で、経済学の始祖として日本でも大勢の人々から崇められているアダム・スミスの『道徳情操論』が愛読書だと触れられ、中国がこれから目指す社会とは「公平かつ正義の社会であり、各人が自由・平等の条件の下で全面的な発展を得る社会」だと仰っているのを聞いて「なるほどね」と妙に納得した。もちろん、今の中国の現状からみれば、だれでも、そんなことは夢物語にすぎないと思うに違いない。けれども、政治家には、長期的な展望に立って、自分の国をどのような国にして行きたいのか、そのようなビジョンと気概、そして具現化していくための勇気と知恵をしっかり持つべきだと思うのである。
 ところで、我が家の本棚の奥に眠っているアダム・スミスの名著を久々に手にとって読み返してみた。改めて読んでみると、とても感動した。昔の人はやはり偉かった。二百年も昔から、アダム・スミスはすでに、輸出入ばかりに依存せず、内需社会を確立せよ、そして「もし社会の経済発展の成果が大衆の手に真正に分け与えられないならば、道義上において人心を得ることができず、リスクを伴う。それは必然的に社会安定の脅威となる」と格差社会が広がることを牽制し、現在の社会の闇を見透かしていたのであったのだ。アダム・スミスの『道徳情操論』、我々を暗いどん底から導き出してくれる「光」なのかもしれないと思った。


  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)中国