「日中関係とソフトパワーとの関連」Part 5

青木麗子 Reiko Aoki

2008年09月15日 10:00

長い歴史の中の日中関係

さて、今の日中関係を論じる前に、長い歴史の中の日中関係らついて振り返ってみたいと思います。もしかしたら、そこに重要なキーワードが隠れているかもしれません。日本と中国は2000年の交流の歴史をもつと言われています。しかし、2000年の歴史の中で、日本と中国は一度たりとも対等の立場になったことがないようです。中国がイギリスとのアヘン戦争に負け、国力が疲弊してしまうまでの長き間、日本はずっと中国大陸に学ぶ立場にあったのです。しかし、その後、日本が明治維新に成功し、国力が強くなり、いつの間にか、中国との立場を逆転させたのです。
 そして、中国が80年代から実施した改革開放政策が成功し、社会経済が猛スピードで発展を成し遂げられ、共産党一党支配の最大の強みと、売り手と買い手の強みを十分に活かしながら、様々な社会問題を抱えつつも、目を見張るばかりの経済成長を実現させ、国際社会における発言力がどんどん増しています。2020年には日本のGDPを追い越し、2030年にはアメリカに次ぐ第二の経済大国となることが見込まれ、日中両国の立場が再び逆転し始めているのです。
しかし、前の戦争と言う大きな負の遺産が両国の人々の前に重くのしかかっているせいなのか、両国の気持のどこかで、どうしても相手を認めたくないなにかがあるようで、この呪縛をとりはらわなければ、両国民の間によい信頼関係が生まれることはありません。




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