国宝・鑑真和上展から日中関係に思いを馳せて Part1

青木麗子 Reiko Aoki

2007年07月23日 10:00

 七月十四日から福岡市博物館で「国宝—鑑真和上展」が始まりました。大変幸せな事に、一般公開前日の開幕式典にお招きにあずかり、幼き頃から敬愛してやまぬ偉大なる鑑真和上の「座像」を心行くまで拝顔させていただきながら、はるかいにしえの日中両国の行き交うに思いを馳せしつつ、胸が熱くなる思いに駆られました。

 皆様ご存知のように、鑑真和上は中国唐(奈良時代)の時代の仏教の高僧です。天平勝宝五年(753年)、日本から遣唐使として中国に渡った留学層の栄えいと普照が、正式な戒律や仏法を日本に伝導してくださるよう、鑑真和上に懇願したところ、和上は「山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁」(日本と中国、国は異なるけれど、お互い同じ月と空の下に暮らす、佛弟子が集い来たりして、共に縁を結ぼうではないか)と、長屋王の言葉を引用して、求められた法の説くのには不惜身命であるべきとの決意をされ、五度の失敗と、十二年もの歳月を要して来日されたのです。法難、潮風、難破、漂流など、長い間の苦難のために和上の視力は日々衰え、日本に辿り着いた時には、すでに失明されていました。




※次回掲載は、7/30(月)を予定しております。

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