Part 5 2020年・都市人口が倍増計画

青木麗子 Reiko Aoki

2010年09月20日 10:00

 今、深刻な貧富の差を生み出している大きな要因の一つとなっている農村人口。実は中国の総人口の8割が現金収入が少ない農村人口だ。中国では日本とは違って、農民は勝手に都市に移り住むことは許されていない。例え都会に出稼ぎに行っても戸籍を移すことができないので、農民工達は都会に出ても単純労働に就くことしかできない。農村の若者達が農村を脱するするためには必死に勉強し大学に入る以外に道はなかった。農村は貧しい、農村は汚い。農民は下等公民。中国において長い歴史の中で多くの中国国民の頭の中に根強く潜む意識だと言っても過言ではない。でも、胡錦濤が率いる中国政府は、2600年も続いた農業税(人頭税) もついに撤廃し、これまでに誰も手が出せなかったいわゆる三農問題(農村、農民、農業)解決に乗り出した。2020年には今の都市人口を倍増する計画を策定し、実現に向けて様々なことに取り組み始めたようだ。そうなれば、新たに増える都市人口のために、住宅、学校、病院、ショッピングセンター、道路、上下水道などなどの建設が必要不可欠となり、新たに膨大な雇用も創出されることになるので、いわゆる負け組の部類に入れられていたこれらの人々の生活もよりよい方向に改善されることになる。人間というものは、自分がおかれている現状が少しでもよい方向に、明日が更によくなるという希望が見えれば、わざわざ暴動を起こして政府を転覆させるようなエネルギーは生まれてこない。そう考えるのが自然体ではないかと思うのは私だけなのだろうか。

 

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