歴史を乗り越え、友好の桜・南京に根ざす Part 3

青木麗子 Reiko Aoki

2010年10月18日 10:00


 今から二十数年前に、福岡市には進藤一馬さんという名市長がおられました。実は、孫文先生の亡命を匿った人物の中のお一人である進藤喜平太さんが正に進藤一馬さんのお父上様で、そのために、進藤一馬さんは若き頃から、孫文先生を大変尊敬しておられたようです。そして、ご存命中に、幾度となく、一度は中山陵にお参りし、孫文先生がこよなく愛しておられたという桜の木を孫文先生が眠られる中山陵の傍らに植樹をしたいと仰っておられるらしく、そのことをそばでお聞きになられていた、進藤一馬さんを政治の師として尊敬してやまなかった新宮松比古さんが、いつか、その願いを叶えてあげたいという思いをずっと暖めておられたようでした。
 しかし、南京という歴史的因縁のある土地柄に「桜」。そして、孫文先生の亡命を匿った間柄といいえ、日本では右翼という烙印が押されている玄洋社、、、。それを聞いただけで周りの空気は一気に凍り付いてしまうのでした。だけれども、孫文先生と玄洋社との関係、進藤一馬さんが孫文生に対する尊敬の念、桜植樹に込められる思い等々について真摯に説明をした結果、ついに江蘇省の皆様からご理解とご賛同を得ることができ、桜植樹を共同の事業として取り組むことが決定したのです。当時、私も通訳として、ずっとその事に携わって参りました。

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