中国の今を知る、中国の未来を読む。

スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2013年04月29日

若者文化ー海を超え絆を繋げる(4/4)




青木:
このような日中関係の中でよく開催が実現されましたね。

知事:
この展示会は、当初は日中国交正常化40周年を記念して昨年9月に開催する予定だったのですが、日中関係を勘案して延期することになりました。
でも、その後も、なんとか開催したいという強い想いで、江蘇省と協議を続け、できるだけ早い時期の開催を働きかけたところ、昨年末に、江蘇省から全面的な協力を得られるとの意向が示されたことから、この度の開催を決断したのです。

青木:
それは本当によかったですね。こういう時だからこそ、地方間同士の交流が極めて重要だと思いますね。

知事:
日中関係は依然として厳しい状況にあり、多くの課題がありますが、こうしたときこそ地域間の相互交流を進めていくべきだと私もそう考えています。
私自身も、日中漫画展にあわせて江蘇省南京市を訪問し、2012「日中国交友好交流年」実行委員会の企画委員長を務められた石川好さんや漫画家の森田拳次さん、クミタ・リュウさんとともに、日中漫画展オープニングセレモニーに出席します。
日本の漫画は中国でも大変人気があると伺っていますので、日中漫画展を通じて、愛知県と江蘇省、ひいては日本と中国の友好関係の一層の発展と交流促進を図っていきたいですね。たくさんの方々に来ていただきたいと思っています。

青木:
そうですね。地方間同士の交流を深めていくことが、日中関係の修復に繋がると信じてやみません。ところで、中国はこの度の全人大で胡錦濤体制から習近平体制に移行しました。知事は、中国の新体制についてどのようにみていますか?

知事:
日本も中国も同じことがいえますが、トップの人間が変わることで、政策や色合いが変わることはあります。しかし、国はトップの人間一人が全てを動かしているわけではありません。ですので、新体制となったからと言っても国家の方向性がハッキリと変わることはありえないと思います。今は、日本と中国は波静かではありません。しかし、日中間の関係が大事であることは、誰しもが認識しておりますし、いずれこの状況は収まり、また交流を深めていくものだと考えています。

青木:
それから、日本の政治体制も民主党体制から自民党体制に変わりました。今の日本の状況とこれからの見通しについても、知事はどのようにみていますか?

知事:
今は調子がいいように見えますが、私は先行きはそう簡単ではないと思います。大胆な金融緩和策や積極財政へ舵をとったことで、円安・株高に振れています。しかし、この状況がこのままずっと続いていくことは、簡単ではないと思っています。世界経済と共に日本企業もグローバル化している中で、公共事業を増やした程度では、日本の景気は良くなりません。もっと日本国内の政治や経済をグローバル化に対応できるようにしていかなければ、日本経済は成長していきません。少しくらい痛みを伴っても、グローバル化に対応するための改革ができるかどうか試されている時期ではないかと思います。アジアを含む海外から人と企業を受け入れ、またどんどん外にも出て行く覚悟を決めてやらないと、日本は成長せず、埋没していくと思います。

青木:
そうですね。日本と中国は隣国ですし、知事の仰るグローバル化という意味でも、早急に日中関係を修復することが大事なポイントとなってきますね。
では、最後に中国の皆さんにメッセージをお願いできますか。

知事:
日本と中国は2千年もの交流があり、歴史的にも繋がりが深いです。双方が歴史を学び、お互いが尊重しあう未来志向の関係を築いていくことで、両国の友好・発展に繋がっていくと思います。私は日中の未来について全く悲観していません。これからも、日本と中国が良い関係を築いていけると信じています。
愛知県にある中部国際空港から中国本土へは、3月現在で北京、上海はじめ10都市へ週79便、香港へは週28便、台湾へは週25便の旅客便があります。また、貨物専用便も香港へ週6便運航されています。しかしながら、広州、重慶など多くの企業が立地していても中部国際空港からの直行便がない都市もあるため、愛知県と中国、両者の発展のためにも、こういった都市への直行便の就航を各方面に積極的に働きかけていきたいと考えています。
航空路線は、人やモノの交流が活発になるために不可欠なインフラですので、今後ともネットワークを充実させていくことで、愛知県と中国との結びつきを深めていきたいですね。皆さん、是非愛知県に遊びに来てください!

青木:
知事、本日は本当にありがとうございました。






  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本と中国

2013年04月22日

若者文化ー海を超え絆を繋げる(3/4)




知事:
是非中国の方々にも見に来ていただきたい観光名所がたくさんあります。
名古屋城では、焼失した本丸御殿の復元工事が行われており、いよいよ今年5月には、第一期分の玄関、表書院の公開が始まります。この御殿は、武家風書院造の傑作と言われており、日本の優雅な木造建築の良さを味わうことができます。そして犬山城は近くに木曽川が流れる小高い山にあり、日本で4つしかない国宝の城でもあります。
また、名古屋城の東、2kmの位置にある徳川美術館には、尾張徳川家に伝わる国宝・源氏物語絵巻、茶道具など、1万点余りの美術品、調度品が収蔵されています。
文化・芸術の分野では、今年は3年に一度の現代アートの祭典、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2013」が8月10日に開幕します。世界中からおよそ75組のアーティストが出品し、オペラやダンス、演劇など盛りだくさんの内容となっています。

青木:
マンガやアニメから派生したコスプレについて、名古屋では、2003年から、「世界コスプレサミット」が開催され、この世界大会には、中国からも出場されたようですね。

知事:
そうです、今年8月に開催される大会には、中国からも、大勢の方々に応援に来ていただきたいと思っています。日本のマンガやアニメなどの若者文化の「クールジャパン」は国際的に人気があり、中国でも、ドラえもんなどが有名であると伺っています

青木:
驚きました。歴史ある観光名所・名城から現代の若者文化に関する様々なイベントまで・・・
愛知県にはさまざまなジャンルの観光資源があるのですね。日本のアニメ・漫画・コスプレなどは中国をはじめ海外の多くの若者が憧れ、支持しています。是非、多くの方に来ていただき交流を深めたいものですね。
ところで、愛知県と中国との交流のことについてお伺いします。

知事:
愛知県と江蘇省は、1980年7月に友好提携を締結し、これまで産業、文化、教育、スポーツなどの幅広い分野で交流を行ってまいりました。2005年の愛知万博開催期間中には、友好提携25周年記念事業として万博会場で「江蘇省ウィーク」を開催し、江蘇省の特色のある刺繍、切り紙等の実演や観光PRなどを実施しました。
2010年には、友好提携30周年を記念して、南京市において愛知県立芸術大学と南京芸術学院の合同音楽会や経済交流会を開催するなど、周年ごとに記念事業を行っています。 愛知県と中国は経済・産業でのつながりも深く、愛知県にある企業の海外進出先は中国がトップであり、2012年末時点で、中国本土へは471企業が、工場などの拠点として100を超える都市に988か所設けているのです。

青木:
非常に実質的な交流が積み重ねてこられているのですね。

知事:
はい、2008年には経済分野での連携を更に強化するための覚書を江蘇省と締結しました。この覚書に基づき、南京市にサポートデスクを設置し、愛知県からの進出企業への支援と投資の促進を図るなど、連携を一層深めてまいりました。
また、今年の1月9日(水)から15日(火)までの7日間、愛知県産の農林水産物を使った加工食品や県内地場産品の輸出を促進するため、「愛知フェアin上海」を開催し、私も12日(土)から13日(日)に上海に行きましたが、非常に好評でしたよ。今後も、継続的にアジア諸国において「愛知フェア」を開催し、私が先頭に立って、品質の高い本県産の農林水産物や地場産品を積極的にPRしていきたいと考えています。                      

青木:
まさに知事は愛知県のトップセールマンなのですね。
ところで、今月は日中漫画交流展が江蘇省で開催され、知事は参加の為に江蘇省をご訪問されるとお聞きしましたが?

知事:
はい。今年度は、日本を代表するポップカルチャーである漫画をテーマとする文化交流を展開する為に、3月24日から28日までの5日間、江蘇省南京市の日中友好会館において、日中漫画展を開催します。展示作品は、森田拳次氏、ちばてつや氏など日本を代表する漫画家の作品75点と中国の若手漫画家の作品15点の合計90点で、いずれも地球の未来の姿をユーモラスに描いた力作ばかりです。






<次週に続く...>

  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本と中国

2013年04月15日

若者文化ー海を超え絆を繋げる(2/4)




青木:
愛知県は日本の三大工業地帯の一つとして、経済が非常に発達していますが、今どのような課題を抱えていると感じていますか。また、課題を解決するために知事が最も力を注いでいる政策などを教えてください。

知事:
ちょうど2年程前から円高が進み、また東日本大震災も発生し日本の製造業が非常に苦しい立場に強いられてきました。愛知県も例外ではありませんでした。しかし、愛知県および東海地域は日本の製造業や産業の心臓部ですので、われわれ愛知県が元気にならないと、日本は元気になりません。そして愛知県は、740数万人の人口規模を超える企業・産業を抱えていますから、それらをもっと厚くしていかなければならないと思います。
企業・産業が更に企業・産業を呼び、人を集めて、新たなビジネスを創るという相乗効果を起こさなければ、日本は沈んでしまうという思いで、私はこの2年間はひたすら企業誘致や企業立地に力を注いできました。この2年間で、愛知県には企業投資ラッシュといってもいいくらい企業がたくさんきてくれました。例えばですが、日本初のビジネスジェットを造るプロジェクトがスタートしました。量産工場の建設にも合意しましたから、とても期待の持てるものになるでしょう。今、円安となっていますが、私が思うに為替が多少円高・円安に振れようが、ビクともしない産業構造をつくっていくのが重要で、それが我々の目標です。

青木:
それは素晴らしい、為替に左右されない産業の創出、それは本当に大事なことですね。さて、愛知県は観光資源が豊富な県でもありますね。御県の魅力について少しご紹介していただけますか?

知事:
愛知県には、古くからの「モノづくり」文化があり、陶磁器、絞り、からくり人形といった伝統産業から、次世代自動車、航空機に代表される高度先端産業まで、多くのモノづくり産業が集積しており、34年連続で日本一の製造品出荷額を誇っています。
このため、愛知県には、「モノづくり」に関する博物館、資料館などの施設が多く存在し、それらの現場を巡る「産業観光」は、愛知県の観光の強みの一つとなっているのです。

青木:
それは素晴らしい。今日本の産業観光は中国を始めアジア諸国において高い人気がありますね。

知事:
はい、今、名古屋市内では、トヨタグループの歴史が見学できる「産業技術記念館」や絵付け体験が好評な「ノリタケの森」などに加え、2011年3月には、「リニア・鉄道館」が開業するとともに、世界最大のプラネタリウムを持つ「名古屋市科学館」がリニューアルされ、大変な人気を博しています。

青木:
愛知県は日本の歴史においてもとても重要な所ですよね。

知事:
はい、愛知県は、徳川家康を始め、織田信長・豊臣秀吉の天下取りの三英傑などの武将を輩出しており、武将ゆかりの史跡も多く武将観光を推進しています。中国では、近年、徳川家康を主人公とする小説や戦国武将をテーマにしたゲームなどを通じて、我が国の歴史的な英雄への関心も高まっていると伺っています。
史跡を巡る武将観光をPRするため、武将の妻、娘たちに扮する6人のメンバーからなる「あいち戦国姫隊」を結成しました。国宝・犬山城や家康が生まれた岡崎城などを拠点として、演舞を行うなど愛知県の観光の魅力をPRする活動を行っていますので、是非中国の若い方達にも愛知県に遊びに来てほしいですね。

青木:
「産業観光」と「武将観光」、二つの主な観光資源のほかにも、愛知県には名城・名所も多くありますね。また、食文化も非常に特色があるようですね。愛知県はわれわれ日本人から見ても非常に魅力的な県だと思いますね。





<次週に続く...>

  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本と中国

2013年04月08日

若者文化ー海を超え絆を繋げる(1/4)


愛知県知事 大村 秀章 / インタビュアー 青木 麗子


青木:
大村知事、本日はインタビューの時間をいただき、ありがとうございます。
私は、知事がまだ国会議員の頃から注目していました。ですので、本日はお会いできて大変嬉しく思っております。

知事:
ありがとうございます、よろしくお願いいたします。

青木:
知事は現在53歳だとお聞きしていますが、お子さんはおられますか?

知事:
はい、子供は4人おりますよ。

青木:
そうなのですね。素晴らしい。私も3人子供がおります。お互い、国にしっかり貢献していますね。ところで、話は変わりますが、知事は、知事になられるまで農林水産省の官僚でしたね。35歳の時に中央官僚を辞められて政治家への道を選ばれたとお伺いしていますが、経緯について少しお聞かせいただけますか?

知事:
私は大学卒業後、農林水産省に入省し、仕事をしていたわけですが、日本のグランドデザインを作るのは政治だということで、35歳で中央官僚を辞めて国政を目指し、出馬することにしました。その後、選挙を経て36歳で国会議員になりましたが、日本を覆う閉塞感を打ち破りたいという強い想いと、国のビジネスモデルが21世紀の時代に向いていないのではないか、また中央集権ではなくそれぞれの地方が独立し、特色を生かして切磋琢磨していかなければ日本が世界に取り残されてしまうのではないかと痛感し、50歳で国会議員を辞めて地元愛知県の知事に転身しました。

青木:
なるほど、地方分権の重要性を発信していくのは、地方の長として携わっていくのがベストだと思われて、行動を起こされたのですね。

知事:
政治家というのは言葉だけでなく、それを行動に移していくことが大事です。
言葉にするだけで、自分の身を安全な所に置いて責任逃れするのはいけません。自分で行動を起こさなければという想いで、国会議員から知事に転身しました。

青木:
国会議員と知事、両方の立場を経験された大村知事ですが、立場でどのような違いがありましたか?

知事:
両方、大事な仕事だと思いますが、日本は議院内閣制で国会議員は722名います。このため、国会議員は個人ではなく政党の力によって決めていくことになるのです。自分ひとりで責任を負う構造ではありません。一方、知事は直接選挙で選ばれた、740数万人に近い県民の代表ですからね。知事となって3年目になりますが、その責任の重さをひしひしと感じています。

青木:
ところで、知事は、官僚時代は農林水産省のお仕事に携わってこられたのですが、国会議員時代は厚生労働関係や障害者支援のお仕事に多く携わっていましたようですが、それは何故なのでしょうか。また、それらのお仕事を通して福祉で最も大事なことは何かと思われましたか?

知事:
国会議員として多くの仕事に携わる機会がありました。農業はもちろん、愛知県はトヨタ自動車をはじめ自動車産業や製造業が盛んなので、それらの経済・産業政策もやりました。でも、その中でもなぜか厚生労働関係にご縁があり、責任者を任されるようになりました。厚生労働と一言でいっても、非常に分野が広く多岐にわたっています。医療・福祉・介護・年金・雇用や労働そして子育てなど、生まれてから死ぬまでの人にまつわることを全てやる所です。日本は資源のない国ですが、人口は1億3000万弱あり、明治以来、人材が一番の資源となって、日本を発展させてきました。人づくりをするのが社会保障や雇用政策を含めた厚生労働だと思い、やってきました。仰られるように今、日本は地方分権化が進んできており、厚生労働の仕事や権限がより現場に近い地方にたくさん降りてきています。ですので、国政時代に積んだ経験が今非常に役に立っていると感じています。







<次週に続く...>

  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本と中国