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2008年03月17日

中国新労働契約法が実施される

 皆様ご周知のとおり、中国では80年代の始め頃に、49年にスタートした計画経済体制にピリオドを打ち、自由競争もできる市場経済を導入した。そのことによって、中国経済は飛躍的な発展を成し遂げられ、特に95以後では二桁の成長をずっとキープし、世界経済の中に占める存在感が日増しに強まってきた。
 都市経済の発展を支えているのが、いわゆる、農村に住む数億もの農民たちが、豊かな暮らしを追い求めるために、出稼ぎのために田舎から都会へと目指している「民工」呼ばれている人たちなのである。女性達は住み込み家政婦にマッサージ店員、男性達は建設現場や工場などで働いている。しかし、都会での生活は決して甘いものではない。不当解雇、賃金不払いなど、「民工達」を待っているのは過酷というべき現実。そのため、2、3年前までは、政府が対策に乗り出すまでに、年末になると空き巣泥棒や強盗事件が後を絶たなかったのだ。
 今、中国は経済がものすごい勢い発展し、リッチな人々が増える一方、このように社会保障がないまま都会に住むリッチな人々に虐げられている人々が大勢いて、深刻な社会不安材料となりかねない「大きな火の固まり」となっているのだ。これは中国が目指した社会ではないはずだと気づいた中国政府は、ついに、新労働契約法を制定し8年1月1日から実施し、低所得労働者などの弱者の保護に乗り出したのだ。しかし、労働集約型の中国にとって、この法律の執行は大きな試練である事は間違いない。「世界の工場」と呼ばれている中国が、今後、産業構構造の転換を図る上でどうしても通らなければならない道だと中国政府は見ているようだ。しかし、この劇薬に耐えられるのか、心配もしている。

中国新労働契約法が実施される



※次回掲載は、3/24(月)を予定しております。

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Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00│Comments(0)中国
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