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2012年11月26日

三重県知事インタビュー(2/3)


青木:
ところで、話は変わりますが、知事は何故10年間で皆さんが憧れる中央官僚のお仕事を辞めようと思ったのですか?

知事:
私は安部晋三元首相が政権を握っている時に総理官邸に出向していまして、その時に安部元首相のゆとり教育の見直しなどの改革を進めようとすると、役所の人たちが抵抗をするわけです。会社でいうと社長がこうしたい、と思っているのを周りの役員達がそれを止めようとする。それに疑問を抱いていました。当時2006年でしたが中国もそうですが、経済成長が著しいときにこのままでは日本が取り残されるのではないか、と思いました。
当時は自民党政権でしたが、与党議員は政策を官僚たちに丸投げしていました。要は官僚たちが総理の足を引っ張っているのに、足を引っ張っている人達に政権を丸投げしている。こんなことでいいのか、このままでは日本が立ち行かなくなってしまうと思ったときに、僕の選択肢は「足を引っ張らない官僚」になるか、「丸投げしない政治家」になるかのどっちかだと思い「丸投げしない政治家」になろうと考えました。なぜかというと間に合わないからです。経済産業省でいかに偉くなってポジションに衝いたとしても、当時はまだ31~2歳でしたから、15年ほどかかってしまう。この5年で中国が大きく変わったように、15年も経つと世界情勢も変わってしまって、本当に日本が取り残されてしまう、という思いで勇気を持って
政治家の世界に飛び込みました。

青木:
なるほど。それで自ら政治の場へと衆議院を目指したけれど落選し、その後に三重県知事選に再チャレンジ、ここではお見事に当選を果たされた訳ですね。少し前までは橋本前大阪府知事が全国で一番若かったですけれど今では鈴木知事が全国最年少の知事なのですね。ところで、若いということで何かハードルを感じることはありますか?

知事:
そうですね。ハードルを感じることはあまりありませんが、しかし、やはり若いということで自分も知識、経験が浅い部分はあると思いますので、心がけていることは、自分で何でもしないということですね。三重県は副知事どちらとも60歳前後ですし、部長クラスにもその年代の人が多いので、自分の足りない部分は周りの人たちの力を借りながらやっています。それも若さの特権かな、と思っています。若いからこそ謙虚に素直に自分のできない事をしてもらうようお願いできる。一方で若さ故の発信力の強さ、注目されることが多いとも感じています。中国含め海外の方からも「全国最年少の知事」ということで見方が変わり、印象付けることができます。例えば去年8月に上海の旅遊局長にお会いした時も訪問した知事が私で20番目だという話になり、私が日本で一番若い知事だということ、松阪牛など三重県にしかない特産の話をさせて頂くと「あなたの事は絶対忘れない。秋には美味しい上海を食べに来てください」というお言葉を頂くなど、各国の大使や総領事とのお付き合いの中でも「Youngest Governor」ということで、注目して頂けるのでメリットを感じています。

青木:
それは素晴らしい。日本では高齢化が進んでいてトップリーダーの高齢化も進んでいますよね。でも、中国を含め海外のトップリーダーのみなさんは若い方が多いですね。30、40代前半のトップリーダーが沢山います。そこは日本と外国とのその差は大きいですよね。そういう意味では知事は貴重な存在で、是非旗頭になって下さい。これから日本ももっと能力のある若い政治家が出てきてほしいですね。

知事:
がんばります。青木さんが仰るように30代、40代だとスピードが速いです。今の日本の企業、行政組織の一番の弱点はスピード感です。そういった時代、ジェネレーションの感覚が近い方がアライアンスも進めやすいと思います。

青木:
まったくその通りだと思います。中国を始め国際社会ではものすごいスピードで物事が進められています。
私はこの情報発信の仕事の他に日中ビジネスコンサルティングの会社をしておりまして、日系企業の中国ビジネスのサポートをしております。いつも感じるのは日本のスピードの遅さです。これだと経済や政治的な影響力も含めて世界に置いて行かれるのではないかと。是非若いリーダー達に巻き返してほしいですね。

知事:
そうですね。福岡の高島市長と私は同級生、人口も福岡市と津市は大差ありません。 たまに携帯メールのやり取りをして情報交換をしています。

青木:
そうでしたか。若い政治同士で是非頑張ってほしいです。
私もよくお会いしていますよ。

知事:
是非よろしくお伝えください
彼も発信力に優れていますよね。

青木:
そうですね。若さを武器にして是非日本を引っ張っていってほしいです。
さて、三重県の事について少し紹介してください。三重県の魅力や、抱えている問題等々。

知事:
三重県のキャッチフレーズは「バラエティー&ビューティフル」です。
三重県は多様性があり、美しい県だと思っております。松阪牛や伊勢エビ、あわび、美味しいものがたくさんあります。これはもともと歴史ある伊勢神宮や京都など都の方に食物を納めていたという日本の伝統の原点
があって、食文化が形成されていったのです。それから海岸線も1100キロあり、これは日本で
8番目に長い海岸線ですが、特徴は名古屋のすぐ横から和歌山の那智勝浦の横までと非常に縦に
長いことです。こういったバラエティーに富んだ文化や美しい自然も豊富な県です。

青木:
なるほど。かの著名な松阪牛は三重県の名物だったのですね。松阪牛と三重県とは繋がりませんでしたね。

知事:
一方で、課題といえば今特に北の方の四日市、鈴鹿、員弁というところではTOSHIBA、SHARP、HONDAなど大きい工場がたくさんあって製造業が売りですが、しかしこの分野も現在国際競争に晒されていて多くの下請けの工場の国際展開が非常に遅れている。ビジネススピードを上げたり、中小企業の国際展開を支援していくのが大きな課題です。三重県には空港も新幹線もないのですが、海外展開をしたいという意欲を持っている人達は沢山いるので、そういう人たちを支援していくのがこれから三重県の経済を立ち行くための大きな課題ですね。あとは、観光、経済という意味でまだ知名度が低いです。鈴鹿サーキットの「鈴鹿」とか松阪牛の「松阪」、伊勢神宮の「伊勢」、熊野古道の「熊野」と言えば有名なのですが、これが三重県にあると知っている人は少ないです。非常にもったいないです。「伊勢神宮って和歌山でしょう?」と言われる事もありますし、知名度を上げていくというのが観光にも繋がっていくし、経済の取り組みにも繋がっていく。
そこが今三重県の弱点ですね。

青木:
そうなると、ここは知事の出番ですよね。
トップセールスマンとして、三重県をブランド化。誰もが知っている名産品や観光名所を三重県と繋げて。

知事:
その通りです。私の名刺は「三重県営業本部長」と「知事」よりも大きな字で書いてあります。
裏には英語で「Chief Sales Officer」と書いてあります。とにかく三重県を知ってもらおうと営業活動をしています。
アワビ、伊勢海老、松阪牛・・・だれもが知っている名産です。真珠も「ミキモト」がありますし。
それが全部三重県にあるのです。


 

<次週に続く...>

 

  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本

2012年11月19日

三重県知事インタビュー(1/3)

青木:
本日は、ご多忙の中に、インタビューをお引き受けいただき、ありがとうございます。本日、知事にお会いできるのをとっても楽しみしてまいりました。宜しく願い致します。

知事:三重県を選んで頂き光栄に思います。こちらこそよろしくお願いします。

青木:
ところで、情報によりますとつい最近、お子様が誕生されたとお聞きしましたが、まずはお子様のお誕生を心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。

知事:ありがとうございます。

青木:
さて、知事は今日本全国の知事の中で一番若い知事ということなのですが、今おいくつでいらっしゃいますか?

知事:今37歳です。

青木:
なるほど、ご待望の男の子のご誕生ですね。
知事になられた時とお父様になられた時で、どっちが一番嬉しかったですか?

知事:
これはなかなか難しい質問ですね!
個人鈴木英敬としては子供の誕生がやはり嬉しいですし、三重県知事になったときも
前回は落選していることもあり、それはそれで本当に嬉しかったです。
嬉しさの質が違いますね。

青木:
そうですね。いずれも知事ご自身にとって人生の歴史に残る出来事ですものね。
政治家とお父様、本当に二重の喜びですね。

知事:ありがとうございます。

青木:
さて、最初に知事のこれまでの経歴をお伺いしたいのですが、知事になられる前に
経済産業省で10年間中央官僚としてお勤めになられ、その中でジョブカフェの立ち上げや
「1円企業」の制度化に携わってこられたとお伺いしていますが、そのあたりの事を少し詳しくご紹介くださいませんか?

知事:
はい。通産省に勤めていたときにジョブカフェの立ち上げ、「1円企業」や「特区」(特別区)の
立案に携わってきました。特にジョブカフェと特区というのは、例えば三重県の津市と福岡県の大牟田市
というまったく異なる市ですが、国の事業や制度は全国一律であるけども、実際は地域には地域の
顔があって、人がいて、その人達の人生がある。官僚時代に47都道府県いろんなとこを回り、地域の事情に合わせた事業をしていかないと地域が元気になっていかないのではないか、という結論を得まして、雇用政策もそれぞれの地域のそれぞれの人の人生を応援したい、そんな事業を作りたいという思いでした。
それから「1円企業」についてですが、当時はアメリカでいうと開業率と廃業率でいうと開業率が14%、廃業率が12%。ということはプラス2%ですね。もちろん廃業が多い10人というのは気になる数字であるものの
プラス2%ということは、毎年企業が増えていて、経済が活性化していっているということです。
一方当時日本は開業率が3.6%、廃業率が4.8%なのでマイナス1.2%ということで、企業がどんどん減っていく、働く場が奪われることで地域の経済が収縮していく、それを止めるために最低資本金が、株式会社1000万円、有限会社300万円という企業を増やす一つのハードルを低くしたいというおもいでした。地域の働く場、地域の元気を守るためにも事業所が増えていかなければならない、という思いでした。

青木:
それは思い切った措置だったと思いますね。それで、実際に1円で会社を作り、ある程度効果は出ているのでしょうか?

知事:
そうですね。当時多くの企業がその制度を使って会社を立ち上げました。「ライブドアのホリエモン」も実はその制度を使っていました。「1円企業」と分かりやすく言っていますが、一人でも株主がいてくれればいいということで、それが極端に1円でもいいということです。結果的に株式会社設立に1000万必要なところを200万、300万で設立する人が多かったですが、そういう制度を利用して会社設立する人がかなり増えましたね。

青木:
確かに今の日本の経済状況の中では就職が非常に難しい。若い人たちが簡単に起業できるというのは非常に時代にマッチしたことで素晴らしい事だと思いますね。

知事:
そうですね。昔のように会社を作ったら、大きな資産を持ったりあるいは、いろんな機械をリースして債権、債務が発生したりするというものでなく、今はパソコン1台でビジネスができる時代ですから。もともと最低資本金というのは、債権債務関係が発生するので、もし倒産した時に債権者に対してお金を払うための担保にしようというものですので、債権債務関係がなくなれば、最低資本金も下げていいのではないかという考えです。
それは100社以上の中小企業、小規模零細の社長さん達にお話を伺っての結論でした。



<次週に続く...>
  


Posted by 青木麗子 Reiko Aoki at 10:00Comments(0)日本